トランプ氏再選なら豪大使追放?=「報復」に波紋、本国は続投強調
【シドニー時事】11月の米大統領選で返り咲きを狙うトランプ前大統領が、オーストラリアのケビン・ラッド駐米大使の追放を示唆し、波紋が広がっている。ラッド氏が過去にトランプ氏を厳しく批判していたため、報復をちらつかせたとみられる。アルバニージー豪政権は首相経験者のラッド氏の仕事ぶりを高く評価し、続投の方針を強調している。
昨年から大使を務めるラッド氏は、かつてトランプ氏を「史上最も破壊的な大統領」「西側諸国への裏切り者」と酷評していた。トランプ氏は19日、英GBニュースのインタビューでこの点について問われ、「彼が敵対的であるなら、その座に長くいられないだろう」と答えた。「彼のことをよく知らないが、少し嫌なやつで、さえない人だと聞いている」とも語った。
これに対しウォン豪外相は、ラッド氏が米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に基づく原子力潜水艦導入計画の調整に尽力してきたことを挙げ、「成果を出している大使だ」と強調。「米与野党とうまく渡り合っており、米国民に選ばれた人なら誰とでも協力できる」と、トランプ氏再選の場合でも代えない方針を示した。
豪メディアもトランプ氏の発言を「脅し」などと大きく報道。オーストラリアン紙は「米国を再び偉大に」というトランプ氏のスローガンをもじり、「ケビンを再び偉大に」と見出しに掲げた。
ラッド氏は外交官出身の中国通で、2007~10年と13年に首相として労働党政権を率いた。最近は中国の軍拡に危機感を強め、AUKUS協力を推進している。
[時事通信社]
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