乱射で国内引き締めか=反ウクライナ、動員の契機にも―ロシア
モスクワ北西郊外のコンサート会場で22日夜、銃の乱射で近年最悪の死傷者を出すテロが発生し、ロシア当局は捜査を本格化させた。プーチン政権は「ウクライナのテロ」(メドベージェフ安全保障会議副議長)の可能性に言及。こうした反応には、戦時として国内を引き締め、追加動員を容易にする意図も見え隠れする。
「反ウクライナのヒステリーをあおり、ロシア国民の動員を強化するためだ」。ウクライナ外務省は声明で改めて関与を否定した。同国情報機関も「プーチン政権の謀略」と主張した。
調査報道機関ベリングキャットの調査員は今回、「動員の口実となるかもしれない」と独立系メディアに指摘している。
侵攻は3年目に入り、ロシア西部ベルゴロド州が砲撃を受け、連日のように死傷者が出ている。プーチン大統領は最近の記者会見で、ロシア本土が越境攻撃されないよう、緩衝地帯としてウクライナ北東部ハリコフ州を占領するシナリオを示唆。ペスコフ大統領報道官も「われわれは戦争状態にある」と述べ、国民に覚悟を促した。
プーチン氏は圧勝で大統領選通算5選を決め、継戦に国民のお墨付きは得た。しかし、2022年秋に予備役動員令で国内が混乱に陥った記憶は新しく、きっかけなしには追加動員に踏み切りづらいという事情がある。
別の独立系メディアは22日、ハリコフ州包囲のため「国防省が30万人派兵を計画している」と報じた。予備役に代わる志願兵の採用が「昨年秋に比べ20分の1」と頭打ちになっており、政権は社会の反発を最小化した形での動員を模索しているという。
[時事通信社]
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