トランプ氏、2期目なら官僚機構に大なた=「忠臣」に差し替え画策―米大統領選
【ワシントン時事】11月の米大統領選で共和党の候補指名が確定したトランプ前大統領(77)は、返り咲きを果たせば「連邦官僚制度を徹底的に見直す」と約束している。自身に従わない公務員を解雇し、「忠臣」と入れ替える構想。対象は数万人に上るとされ、実現すれば大統領権限が実質的に大幅強化される。
「ディープ・ステート(闇の政府)を粉砕する」。トランプ氏は政権公約集「アジェンダ47」でこう訴える。既得権益層が影で支配する政府機構を解体する、という考え方は、トランプ氏支持者が喝采する施策の一つ。トランプ氏は政権末期に連邦職員を解雇しやすくする大統領令を出し、バイデン政権の発足後に破棄されたが、これを「就任初日に再発令する」という。
トランプ氏が真っ先に標的とするのが、司法省や連邦捜査局(FBI)だ。2020年大統領選の敗北を覆そうとした事件などで起訴されたトランプ氏は、法執行当局への報復を画策。大量解雇構想の背景には、1期目で政治任用以外の官僚らに自身の政策を阻まれた苦い記憶もある。
トランプ氏を支持する保守系シンクタンク、ヘリテージ財団は、政権2期目に備えた採用計画「プロジェクト2025」を主導。トランプ氏への忠誠心や思想信条を選考基準に、人材確保を進めている。ケビン・ロバーツ会長は米メディアに「保守的な政策の執行と、誤った政策の転換を急ぐこと」が同プロジェクトの目的だと語り、2期目に解雇対象となる連邦職員は「5万人規模」に及ぶと予測した。
大なたを振るう兆候は既にある。共和党全国委員会(RNC)はこのほど、スタッフの解雇に乗り出した。RNCは今月8日の体制刷新で、幹部にトランプ氏の親族らが送り込まれたばかり。約200人のうち60人超が職を失うとされ、トランプ氏による党の「独裁」が一層進むと指摘されている。
[時事通信社]
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