デフレ脱却へ日銀と緊密連携=景気判断維持、「3本の矢」消える―3月経済報告
政府は22日公表した3月の月例経済報告で、景気の全体判断を「このところ足踏みも見られるが、緩やかに回復している」に維持した。政策の基本的態度に関しては、18、19両日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除などを決めた日銀との「緊密な連携」を強調。デフレ脱却と新たな成長型経済への移行に向けて「あらゆる政策手段を総動員していく」と明記した。
政策態度ではまた、大胆な金融政策と機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「アベノミクス3本の矢」に関する文言を削除。日銀の植田和男総裁も19日の決定会合後の記者会見で、2013年4月から11年続いた異例の大規模緩和について「役割を果たした」と指摘しており、経済、金融政策を巡る局面転換を印象付けた。
今後は、政府のデフレ脱却宣言が焦点となる。記者会見した新藤義孝経済財政担当相は、消費者物価指数など政府が従来重視していた4指標に加え、「賃金の上昇、企業の価格転嫁の動向、物価上昇の広がりや予想物価上昇率など、さまざまな指標の動きを丁寧に見ながら適切に判断する」と述べた。
個別項目では、設備投資に関する判断を「持ち直しの動きが見られる」に引き上げた。上方修正は22年10月以来1年5カ月ぶり。半導体や自動車関連の生産能力増強投資が進んでいることなどを受けた判断。ただ、ダイハツ工業などの認証不正を踏まえ、「一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響による下押し」も指摘した。
内需の柱である個人消費は「持ち直しに足踏みが見られる」に据え置いた。一方、アジア地域からの携帯電話や自動車部品の輸入が低調なことを反映し、輸入の判断を「このところ弱含んでいる」と、1年2カ月ぶりに引き下げた。
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