2024-03-19 18:41国際

トランプ氏勝利で中国「有利」?=習政権、両にらみで情勢注視―米大統領選

 【北京時事】中国の習近平政権が、11月の米大統領選の動向を注視している。再選を狙うバイデン大統領、返り咲きを目指すトランプ前大統領はともに対中強硬姿勢を示しているが、中国の識者からはトランプ氏の当選が中国に「有利」になるとの見方も出ている。
 「米大統領に関してはコメントしない。私が言えるのは、中米関係を『競争』で定義するのに反対だということだ」。中国外務省の毛寧副報道局長は今月上旬、バイデン氏とトランプ氏のどちらが中国により「強硬」かとの西側メディアの質問にこう返し、踏み込んだ言及を避けた。
 トランプ氏は前回の大統領在任中、対中貿易赤字を問題視し、中国製品に高関税をかけて米中貿易戦争を仕掛けた。今回も、対中関税を60%超に引き上げると公言。実現すれば、低迷が続く中国経済にとってさらなる打撃となりかねない。
 だが、外交政策に詳しい北京の識者は「トランプ氏は利益第一で動くので、ディール(取引)が可能だ」と指摘。通商面で圧力をかけられても「交換条件で妥協点を見いだせる」と分析する。
 中国政府は、習政権が「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾問題に関しても、トランプ氏の方が中国にとって「有利」と捉えているもようだ。トランプ氏は自国優先の「米国第一」を掲げており、国務院台湾事務弁公室の報道官は1月末の記者会見で「(トランプ政権では)台湾は捨て駒に変わる」と述べた。
 バイデン政権はトランプ氏の高関税を維持しつつ、先端技術の対中輸出規制を多国間で強化。日韓やオーストラリア、フィリピンなどと連携し、体系的な中国包囲網を構築した。安全保障を最重視する習政権にとっては「最も厄介なアプローチ」(識者)。同盟軽視の姿勢を示すトランプ氏が返り咲けば、包囲網に亀裂が入るとの観測も出ている。
 一方、外交筋は「ディールはできても、トランプ氏の予測不能な動きはやはり脅威。誰が大統領になっても、中国の経済や安全保障面での困難は続く」と分析した。 
[時事通信社]

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