増税・追加動員で決断直面=主要閣僚は留任か―ロシア大統領
ロシア大統領選で圧勝したプーチン大統領は、5月の通算5期目の就任式を待たず新たな内政・外交を始動させる。とりわけ不人気な増税に向けた論議を本格化。ウクライナ侵攻が長期化する中、予備役の追加動員を検討するとの見方も出ており、選挙前は難しかった決断に直面することになりそうだ。
2018年の前回選挙後、プーチン氏は年金支給開始年齢の引き上げを決定。20年には自身の再出馬に道を開く憲法改正に踏み切った。これらは反体制派指導者の故アレクセイ・ナワリヌイ氏が抗議デモを呼び掛けるきっかけにもなった。
政策と並んで5期目の政権人事も注目されている。20年にメドベージェフ前首相(前大統領)から交代したミシュスチン首相について、プーチン氏は最近のインタビューで「非常に満足」と評価しており、続投させる雰囲気だ。ミシュスチン氏は税務当局出身で、個人所得税増税の最終調整に当たる可能性がある。
内外メディアによると、政府系電力大手トップだったボリス・コワリチュク氏が、エネルギー相などに就くとの観測が浮上。プーチン氏の旧友である実業家ユーリー・コワリチュク氏の息子で最近、大統領府入りしたと伝えられた。プーチン氏の最側近パトルシェフ安全保障会議書記の息子ドミトリー・パトルシェフ農相も、要職に起用されるとみられている。
戦時下でもあり、ラブロフ外相やショイグ国防相らは留任が濃厚だ。ウクライナ侵攻を巡り、交代がなく前線から帰れない兵士の妻らによるデモが社会問題化し、対策は急務。22年以来となる予備役動員が行われるのではないかとささやかれている。
外交では、西側諸国との対立を踏まえ、新興・途上国「グローバルサウス」との関係強化を基本方針に据える。「大統領選後」(ペスコフ大統領報道官)には、トルコや北朝鮮への訪問も控えている。
政権にとって最大の関心事は、11月の米大統領選とみられる。プーチン氏は2月、国営テレビに対し、ロシアにとって望ましいのはバイデン大統領だと発言。「より経験豊富で予測可能な古い政治家」だと評した。一方で「米国民が選んだ指導者と協力する」とも述べ、トランプ前大統領の返り咲きに備えているもようだ。
対日関係では、平和条約締結交渉が中断したまま。パノフ元駐日大使はロシア外交に「日本の占める場所はない」と話しており、先行きは厳しい。
[時事通信社]
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