2024-03-15 17:15経済

USスチール買収、不透明に=米大統領選控え政治問題化―日鉄

日本製鉄の看板
日本製鉄の看板

 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収計画を巡り、先行きが不透明な情勢になってきた。バイデン米大統領が14日、買収に否定的な声明を発表。トランプ前大統領も「即座に阻止する」と明言しており、これで11月の大統領選で争うとみられる2人がともに反対の姿勢を打ち出すなど政治問題化が一層進んだ形だ。日鉄が目指す9月までの買収完了は見通せなくなってきた。
 日鉄は15日、「USスチールが米国の象徴的な企業であり続けるための最適なパートナーだと確信している」とし、「強い決意で買収を完了させる」と予定通り進める方針を発表した。引き続き規制当局の審査に対応する考えを示し、買収完了後には、買収に起因する一時解雇や工場閉鎖を行わないと全米鉄鋼労組(USW)に約束すると表明した。
 日鉄は、買収に反対するUSWの理解を得られるかどうかが成否の鍵を握るとみており、今月7日には森高弘副社長がUSWのマッコール会長と面談した。ただ、USWは会談で進展はなかったとする声明を公表したほか、今回のバイデン氏の声明に対しても「歓迎する」としており、理解を得られる見通しは立っていない。
 既に始まっている米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)による安全保障審査についても、中立的に行われるとみられるが、大統領の意向に逆らうのは難しいとの見方もある。米大統領選が密接に絡み合う形となり、鉄鋼関係者からは「タイミングがあまりにも悪かった」との声が出ている。 
[時事通信社]

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