地下水湧き出て家屋が浸水 リビア沿岸都市
【ズリテン(リビア)AFP=時事】リビアの大部分は乾ききった砂漠だが、地中海沿岸のある都市は、真逆の問題に苦しんでいる──地下水が湧き出し、家屋や田畑を水浸しにしているのだ。原因は特定されていない。≪写真は、リビアの沿岸都市ズリテンで、冠水した土地の横に立つ人々≫
北西部ズリテンの周辺では、よどんだ水と泥が家屋や道、ヤシの木立に押し寄せ、悪臭をまき散らし、蚊の温床となっている。
首都トリポリの東方約160キロに位置するこの一帯では、状況の悪化が懸念される中、多くの住民が壁にひびが入ったり倒壊したりした自宅から避難している。
ズリテンから4キロほど離れた場所で農園を営む男性は、「水は2か月前から出始め、今も湧き続け、井戸を水没させている」とAFPに語った。「リンゴ、アプリコット、ザクロの木など、農園の果樹はすべて駄目になった」
人口約35万人のズリテンのモフタ・ハマディ市長によると、50世帯ほどが移住した。
ズリテンの住民は、地下水の氾濫は今に始まったことではないと話す。しかし、現在はかつてない規模で被害が出ているという。
アブドルハミド・ドベイバ首相は先月、「科学的かつ迅速にこの危機に対応する」と述べ、避難世帯への補償や移住の支援を当局に要請した。
しかし、湧水の原因についてはいまだ統一の見解が出ていない。
排水インフラの不備、パイプラインの損傷、冬の豪雨など、さまざまな原因が考えられるとメディアは指摘している。
世界の他の場所では、海面上昇が沿岸の地下水上昇に関係している。高濃度の塩水が地中深くまで浸透し、軽い淡水を押し上げるからだ。
一方で、リビア当局はこの湧水と巨大なパイプライン、いわゆる「大人工河」との関連を否定している。これはムアマル・カダフィ政権時代に建設されたもので、南部の砂漠の地下深くにある帯水層の水を、かんがい用に北部沿岸の農業地帯へ運んでいる。
パイプライン事業の管理会社やリビアの主要な水道・電力会社が総力を挙げて問題の対応に当たっており、国家疾病管理センターも蚊の大群を根絶するために緊急チームを派遣している。【翻訳編集AFPBBNews】
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