2024-03-15 16:34社会

美浜原発差し止め認めず=「重大事故の具体的危険ない」―運転40年超の3号機・大阪高裁

美浜原発周辺の主な断層
美浜原発周辺の主な断層

 運転開始から40年を超える関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)は安全対策が不十分だとして、福井、滋賀、京都3府県の住民7人が運転差し止めを求めた仮処分の即時抗告審で、大阪高裁(長谷川浩二裁判長)は15日、「運転中に重大事故を起こす具体的危険があるとは認められない」として、申し立てを棄却する決定をした。
 即時抗告審で住民側は、運転開始から40年以上経過した原発は過酷な環境下で稼働し続けているため、一定年数を超えると故障発生率が急激に上昇すると主張。原発の敷地から極めて近い場所に「C断層」と「白木―丹生断層」の二つの活断層があるのに、3号機は十分に余裕を持った耐震設計をしていないとした。
 これに対し長谷川裁判長は、原子力規制委員会の新規制基準が定めた経年劣化対策は、評価方法などに不合理な点はないと指摘。基準に基づいて関電が実施した特別点検でも「原子炉容器などに欠陥や劣化は認められなかった」とした。
 住民側が指摘した二つの断層については「大規模な地表変位を発生させ得る断層だと示す的確な資料は見当たらず、発電所が無視できない影響を受けるとは認め難い」として退けた。 
 仮処分を巡っては、大阪地裁が2022年12月に申し立てを却下したのを不服とし、住民側が即時抗告していた。
 住民側弁護団の井戸謙一共同代表は決定後の記者会見で「能登半島地震があり、原発の脆弱(ぜいじゃく)性を踏まえた決定が出るのではないかと期待したが、大変残念で不当だ」と述べた。
 関西電力のコメント 主張を裁判所に理解いただいた結果だ。引き続き安全性、信頼性の向上に努め、3号機の運転・保全に万全を期す。

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