低中所得層の負担軽減強調=米大統領選へアピール―バイデン氏
【ワシントン時事】バイデン米大統領が11日示した2025会計年度(24年10月~25年9月)の予算教書では、児童税額控除の再拡大や住宅購入支援など低・中間所得層の負担軽減策が盛り込まれた。再選を目指す11月の大統領選に向けた選挙公約の意味合いが大きく、勤労世帯や子育て世帯に寄り添う姿勢をアピールした。
「住宅購入、育児から学生ローンまで、勤労世帯の負担軽減のために闘い続ける」。バイデン氏は予算教書の中で、低・中間所得層への支援拡大を強調した。こうした層は人口に占める比率が高く、選挙戦のカギを握る。幅広いメニューを示し、取り込みを図った。
目玉は児童税額控除の再拡大だ。21年末に期限切れとなった新型コロナ危機時の水準を復活させることで、一世帯当たり平均2600ドル(約38万円)の減税を目指す。バイデン氏は「子どもの貧困率を半減させた」と当時の成果を振り返る。そのほかの対策も合わせ、10年間で計7650億ドルの負担軽減を見込む。
低所得者向けの住宅減税や手ごろな価格での住宅供給拡大策も示した。高騰する大学費用を抑制し、中産階級の進学を後押し。歳出削減を主張する野党共和党を意識し、「社会保障給付や高齢者向け医療保険の削減を拒否する」と明言した。
予算教書では、25年度の公的債務残高の対国内総生産(GDP)比率は100%を超え、財政悪化が予想されている。バイデン氏は富裕層や大企業への増税を打ち出し、税収を確保するシナリオを描いた。ただ、大統領選だけでなく、同時に行われる米議会選も予算の行方を左右する。同氏の思惑通りに進むかは不透明だ。
[時事通信社]
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