2024-03-04 17:44経済

期待先行、逆回転リスクも=4万円到達後の株価は☆1

木内登英 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト(同社提供)
木内登英 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト(同社提供)

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト 現在の株価は、物価高と金融緩和、円安の三つの要素が強まって押し上げられている。持続的かどうか分からず、相場の逆回転はいつでも起こり得る。日本の成長力、実質的な企業の稼ぐ力が高まっている証拠はない。
 まず物価上昇率が落ちている。日銀が早ければ3月にもマイナス金利政策を解除し、さらに物価上昇率が下がれば、実質金利が高まり金融緩和の効果が薄れる。早いタイミングで追加利上げ観測が出れば外国為替市場は円高に振れやすく(円安による企業収益の拡大を期待した)今の株高の流れを止める可能性がある。
 「物価と賃金の好循環」によるデフレ脱却期待も株高の一因だが、実際の物価と賃金の動きが予想を下回れば、先行し過ぎた期待ははげ落ちる。
 東証が資本効率の改善を上場企業に要請したが、企業の改革への動きは常にある。過去に企業統治改革進展への期待で日本株が買われた時期があったが、根本的に変わらなかった。徐々に改善しているだろうが、急に良くなった証拠はない。
 今は株高に浮かれない姿勢が必要だ。政府は成長戦略で少子化対策、インバウンド(訪日客)需要の活用を進め、企業は生産性の向上に努め、働き手は自分の技能を学び直しで高めるといった取り組みが不可欠だ。それらが不十分なら、経済の本格回復は結局、期待外れに終わるだろう。 
[時事通信社]

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