初の「要請前出動」=活動広がる緊急援助隊―東日本以来の大規模投入・能登地震
能登半島地震から2カ月となるのを前に、石川県内の被災地に派遣されていた緊急消防援助隊は先週、52日間の活動を終えた。今回は1995年の創設以来初めて、被災地からの要請を待たずに地震発生直後から出動。派遣期間、人数ともに東日本大震災に次ぐ規模となり、活動内容も消火、救助から給水、物資搬送など多岐にわたった。
緊急消防援助隊は大規模災害時に全国の自治体の消防から部隊を集め、迅速な人命救助に当たる。東日本大震災では88日間にわたり過去最大の延べ約10万4100人を派遣。放射能漏れが発生した東京電力福島第1原発への放水にも当たった。
◇初動を重視
総務省消防庁は今回、地震発生の約20分後に各地の消防に出動を要請。東日本大震災に匹敵する揺れや大津波警報の発令に加え、正月休み中であることも加味した判断だった。同庁担当者は「甚大な被害が想定され、元日だったことから状況の把握と要請に時間を要すると危惧した」と振り返る。
意識したのは、生存率が急激に下がるとされる「発生後72時間」。72時間を迎える1月4日には、約1800人が救命・救助に当たり、輪島市で80代の女性を救出した。同庁幹部は「消防の使命は人命救助。72時間を意識して、初動から大規模な人員を投入した」と語る。
◇寸断道路、今後の課題に
被災地では、消火や救助以外の活動も展開。厳しい寒さで体調を崩す被災者も多く、避難所から病院への救急搬送や、断水が続いた被災地の病院からの転院搬送が相次いだ。消防防災ヘリによる孤立集落への物資搬送も担当。消火栓の取水確認といった地元消防のサポートも行った。
一方、土砂崩れや陥没で道路が寸断され、迅速な救助や物資搬送という点では課題も残った。同庁幹部は「活動を振り返り、今後に生かしたい」としている。
被災地には今月21日までの52日間で延べ約5万9000人を投入。被災者294人を救助し、1572人を搬送した。
◇消防庁、自前で撮影
今回は、広報専門の「現地広報員」も消防庁として初投入した。被災現場の実情や救助の様子を撮影し、報道機関に提供するのが主な役割で、隊員が活動に専念できる環境を整えるのが狙いだ。
2021年7月、静岡県熱海市の土石流災害で試行。昨年末、注意点をまとめたマニュアルを策定したばかりだったが、広報員として被災地入りした中堅職員は「能登地震では報道されることが増え現場の士気も上がった」と手応えを見せる。
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