自民、「納税」要求の高まり警戒=確定申告捉え野党攻勢―派閥裏金事件
自民党は、派閥の政治資金パーティー収入裏金事件で、キックバック(還流)を政治資金収支報告書に記載しなかった議員に野党が「納税」を求めていることについて神経をとがらせている。折しも2023年分所得税などの確定申告が16日から始まり、対応を誤れば国民から一層の不信感を招きかねないためだ。
「こういったお金は所得になるし、脱税にもなる」。立憲民主党の泉健太代表は16日の記者会見で、確定申告が始まったことに触れつつ、こう強調した。衆院予算委員会の質疑では立民議員が「国民は増税、自民は脱税」と攻め立てる場面もあった。
政治団体への寄付は政治活動に使われる場合、原則として課税されない。しかし、野党は、領収書などで政治活動に使ったと証明できない分については、所得税の納付が必要な「雑所得」に当たると主張する。
泉氏が問題視したのは15日公表の自民党調査の中身だ。聞き取りを行った安倍、二階両派の国会議員ら85人のうち31人が、収支報告書に不記載だった還流資金について「使用していなかった」と答えた。国税庁は国会で「政治家個人に帰属する政治資金を使用せず、長年保存していた場合、課税関係が生じる」と指摘している。
還流資金を受け取った議員に対し自民が納税させる案を検討していると一部で報じられた15日、岸田文雄首相(党総裁)は「承知していない。議員個人が受領した例は把握していない」と火消しに追われた。
自民党関係者は「確定申告の時期だから文句も出てきて、国税庁も困っている」と明かす。納税すべきだとの声は党内にもくすぶるが、納税すれば議員個人として受け取ったことを認めることになり、「これまでの前提が崩れる」(党幹部)との慎重論が強い。
[時事通信社]
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