2024-02-16 15:02

原因究明「同じ気持ちで」=JAXAと三菱重の技術陣―H3ロケット

 衛星打ち上げ市場への参入を目指す新型ロケット「H3」の開発には、国際競争力確保の観点から、三菱重工業が当初から参画し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で取り組んで来た。昨年3月の1号機失敗後は、原因究明や対策も共に行った。JAXAの岡田匡史プロジェクトマネジャーは「研究機関と民間のメーカー、立場の違いはあったが、特にこの1年は一日も早く2号機を打ち上げたいという同じ気持ちで進められた」と手応えを語った。
 三菱側で技術面を取りまとめる北山治H3プロジェクトエンジニアは、1号機の失敗直後、ぼうぜんとする発射管制室のメンバーを前に「1年以内に次(2号機)を打つ。下を向いてはいけない」と励ました。
 原因の糸口すら分からない段階だったが、「市場投入のタイミングを逃すと勝てない。自信というより義務というか、1年の間にやらなければ」との危機感からだった。
 「エンジニアは事実に、データに基づくことが大事」と話す北山さん。集めたデータから仮説を立て、再現実験で確かめるという地道な作業を積み重ねた。
 役立ったのは、10年近い共同開発で培われたお互いの信頼関係。北山さんは「苦労はあったが、目指す目標は一つなので、ベクトルを合わせられた」。岡田さんも「重工側が出した結果をそのまま受け止められたし、われわれの結果もしっかり受けていただいた」と振り返る。
 原因究明と対策を半年余りで済ませ、H3は再びスタートラインへと戻った。北山さんは「1号機の時より落ち着いて迎えられている。地上でやれることをやり、当日を迎えたい」と話した。 
[時事通信社]

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