2024-02-12 14:18社会

炊き出し、県外支援者は有料で=売り上げで地元の野菜購入―「罪悪感なくしたい」・能登地震

復旧支援にあたる職員らに向け、有料で炊き出しを行うキッチンカー=1月31日、石川県輪島市
復旧支援にあたる職員らに向け、有料で炊き出しを行うキッチンカー=1月31日、石川県輪島市

 能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市で、県外から復旧支援に訪れた電力会社や自治体の職員に、炊き出しを有料で提供する取り組みが行われている。売り上げは地元の農家から野菜を購入する費用に充て、1次産業の支援にもつなげる。主宰する池端隼也さん(44)は「お金をもらうことで、県外の人たちが炊き出しを食べる罪悪感をなくしたい」と話す。
 池端さんは市内でフランス料理店を営む。自身も被災し、店舗は2階がつぶれたが、店にあった食材をかき集め、発災翌日から炊き出しを続けてきた。今は被災した地域住民や飲食店経営者ら15人ほどが集まり、毎日約1500食を無償で振る舞っている。「高血圧の人や高齢者が多いので、野菜をたっぷり使った一品を心掛けている」と池端さんは話す。
 「余ったから」と差し出した食事を報道関係者に辞退されたのが、有料化を考えたきっかけだった。「炊き出しは被災者のものという思いがあり、食べづらいのではないか」。県外から支援に訪れた人への感謝も込め、1杯当たり500円で温かい料理を提供し、その資金を再び炊き出しに充てる「復興ごはん」を計画した。
 1月下旬に開始すると口コミで評判が広がり、多い日には50食ほどが売れるように。近くで支援物資の整理や搬入に当たる静岡市職員の30代男性は「初めは炊き出しを食べることに抵抗があったが、購入することで被災者の支援につながるなら」と話す。
 池端さんの料理店は、能登の食材をふんだんに使うのが特徴だが、再開には2、3年かかる見込みという。「支援で輪島に来る人や地域の人、料理人も含めてみんなでタッグを組み、一刻も早くいい町を取り戻せたら」と力を込めた。 
[時事通信社]

被災者に炊き出しを配る池端隼也さん=1月31日、石川県輪島市
被災者に炊き出しを配る池端隼也さん=1月31日、石川県輪島市

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