ヤマト、メール便契約解除が波紋=配達員ら反発、背景に24年問題も
![記者会見するヤマト運輸の配達員が加入する労働組合員ら=2023年10月、東京都千代田区](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240210at46S_p.jpg?updated=1707515486)
ヤマト運輸は、メール便と呼ばれる、カタログやチラシなどの配達業務を委託する個人事業主約2万5000人との契約を1月末で終了した。日本郵便に同業務を移管することに伴う対応。トラック運転手の人手不足の深刻化が懸念される中、主力の宅配便事業へ経営資源を振り向ける狙いがある。契約解除の撤回を求めてきた個人事業主らは強く反発し、波紋が広がっている。
対象となったのは、ヤマトが1月末で廃止した「クロネコDM便」を自転車などで配達する個人事業主ら。同社によると、仕分け業務を担うパート社員も再配置に同意した人を除く約3000人が雇用契約終了となった。
ヤマトが業務移管する背景にあるのは、残業規制強化で深刻な運転手不足に陥る「2024年問題」への危機感だ。経営効率化で原資を生み出し、運転手の確保に向けた待遇改善などを進める考え。契約終了に当たっては、個人事業主に3万~7万円の謝礼金のほか、転職支援サイトを用意。パート社員には慰労金を支払うと説明する。
一方、契約解除を受け、個人事業主が加入する労働組合担当者は「話し合う機会すらなく、憤りしかない」と語った。昨年6月に契約終了を事前通知された後、団体交渉を求めてきたが、会社側は業務委託契約を結んだ個人事業主に対し「(ヤマトは)使用者に当たらない」と拒否しているという。
労働組合側は昨年10月には東京都労働委員会に救済を申し立てたが大きな進展はない。労組には今も多くの相談が寄せられているといい、今後も問題解決を探る考えだ。
ヤマトの親会社は今月5日、24年3月期連結業績予想を下方修正し、純利益は一転減益を見込む。物価高に伴う宅配便個数低迷が主因で、収益が伸び悩む中、24年問題をにらんだ一段の経営効率化という難しい判断を迫られそうだ。
[時事通信社]
![記者会見した(左から)ヤマトホールディングス(HD)の長尾裕社長、日本郵政の増田寛也社長、日本郵便の衣川和秀社長(肩書は当時)=2023年6月、東京都千代田区](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240210at45S_p.jpg?updated=1707515486)
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