政倫審対応で自民苦慮=党内難色、野党は突き上げ―裏金事件
自民党が、派閥の裏金事件を受けた国会の政治倫理審査会の開催を巡り、対応に苦慮している。浜田靖一国対委員長が前向きに検討すると表明したものの、出席を求められる安倍派幹部らが難色を示しているためだ。野党は参考人招致や証人喚問を要求する構えもちらつかせ、自民に受け入れを迫っている。
「浜田氏が突然、政倫審への出席は強要できないと言い出した。疑問を感じざるを得ない」。立憲民主党の長妻昭政調会長は8日の記者会見でこう批判。共産党の小池晃書記局長も記者団に「許し難い」と語気を強めた。
長妻氏らが問題視するのは、浜田氏の発言の変遷だ。野党が安倍、二階両派幹部の政倫審出席を求める中、浜田氏は4日のNHK番組で「政倫審に出席してもらえれば一番いい」と述べ、党内調整を進める意向を表明。しかし、7日には一転して「ハードルが高い」と慎重姿勢を示した。
背景には安倍派の反発がある。関係者によると、同派で疑惑を抱える幹部7人からは「党に従う」との声が出る一方、一部は「出たくない」と周囲に漏らしているという。今国会は政府4演説を召集日に行わない異例の日程で始まったが、これを念頭に「浜田氏は譲り過ぎだ」との不満もくすぶっている。
政倫審の開催には、対象となる議員本人の申し出が必要。政倫審メンバーの過半数の議決でも可能だが、最終的な出欠判断は本人次第だ。自民国対関係者は「党が独断でできることには限界がある」と語る。
裏金事件を巡っては今後、検察審査会での審査が想定される。政倫審を開催しても、安倍派幹部らは発言に慎重にならざるを得ず、かえって世論の批判をあおりかねないとの懸念も出ている。
野党側は、自民側の事情を見透かして揺さぶりを掛ける。立民の安住淳国対委員長は「もし政倫審に来ないなら、ハードルを徐々に上げる。最後は証人喚問まで徹底してやる」と公言。対応次第では、2024年度予算案の審議に遅れが生じかねず、自民は頭を悩ませそうだ。
[時事通信社]
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