故郷に笑顔を=奮闘した北陸出身力士―大相撲
故郷に少しでも明るい話題を―。能登半島地震で甚大な被害を受けた北陸地方は相撲どころとあって、出身力士は特別な思いで初場所(1月28日千秋楽、東京・両国国技館)の土俵を務めた。
人気力士の遠藤は石川県穴水町出身。実家の近くまで津波が到達したため、家族は避難所に向かった。幕内土俵入りでは、地元の漁業に使われる「ボラ待ちやぐら」が描かれた化粧まわしで臨んだ。震災から2週間が過ぎた2日目の取組後も、「何日たとうが一緒。心配」と胸の内を明かした。負け越し後も館内の大声援を受けた。
遠藤の師匠で、同じ穴水町出身の追手風親方(元幕内大翔山)は、実家周辺のほとんどの建物が倒壊し、「本当に戦争の痕みたい。こんな状態で復興ができるのかなと思う」と心を痛めている。
デビューから所要4場所のスピード出世で入幕した大の里は石川県津幡町出身。実家は停電などの被害に遭い、同県内灘町に住む祖父母は避難したという。故郷を思い、「見ている人がいることを考えて、いい相撲を取りたい」。言葉通り、11勝を挙げる快進撃で敢闘賞を受賞。6日には遠藤らと共に初めて被災地を慰問する。
富山市生まれの朝乃山は、「相撲を楽しみにしてくれている人が多い。自分たちは土俵の上で戦っていく姿を見せていくしかない」。初場所では、けがで途中休場しながら執念を見せて再出場。9勝を挙げた。4月7日には同市で春巡業開催が予定されており、ふるさとに笑顔を届ける。
[時事通信社]
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