2024-01-24 16:13国際

共和党指名争い、対中強硬アピール=トランプ氏、関税一律上げも―米大統領選

 【ワシントン時事】11月の米大統領選に向け、トランプ前大統領が共和党の指名獲得へ前進した。保護主義的な姿勢を強め、輸入品への一律関税引き上げにも言及。中国には優遇関税での輸入を認める「最恵国待遇」の撤回を主張する。対抗するヘイリー元国連大使も対中強硬姿勢を示しており、米経済への打撃や貿易摩擦への懸念が強まっている。
 「労働者と製造業を守るため、中国やその他の国に関税を払わせる」。昨年12月に東部ニューハンプシャー州で開かれた集会。トランプ氏が関税引き上げを訴えると、会場は歓声に包まれた。昨夏には一律10%の追加関税に言及。特に多額の対米貿易黒字を抱える中国を敵視し、安全保障上の脅威として「中国依存」の脱却も訴える。ヘイリー氏も、社会問題化している合成麻薬「フェンタニル」流入を理由に、中国との貿易制限を主張している。
 トランプ氏は大統領在任中、「タリフマン(関税の男)」を自称。知的財産権の侵害などを理由に中国産品約3700億ドル(約55兆円)相当に制裁関税を発動し、貿易戦争に火を付けた。鉄鋼・アルミニウムにも25%の追加関税を課し、日本や欧州連合(EU)などとも摩擦を引き起こした。
 こうした保護主義的政策は、米経済にマイナスになったとの見方が多い。米アメリカン・アクション・フォーラムは、2018年以降、米消費者に1950億ドルの負担増を強いたと試算。関税を一律10%上げれば、米国内総生産(GDP)を600億ドル超押し下げ、「米経済に幅広く打撃を与える」と指摘する。
 対中貿易戦争の激化への懸念も強い。英オックスフォード・エコノミクスは、中国の「最恵国待遇」撤回による関税引き上げは米企業の競争力低下などを招き、実質GDPを5年間で最大計1兆9000億ドル減らすと警告した。
 各国は、トランプ氏の返り咲きに身構える。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は国際会議で「米国は世界一の経済大国。最大限の注意を払わなければならない」と呼び掛けた。 
[時事通信社]

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