建て替え合意要件「4分の3」に緩和へ=老朽マンション再生へ法制審要綱案
法制審議会(法相の諮問機関)の区分所有法制部会は16日、老朽化した分譲マンションの建て替えを円滑化するため、決議に必要な所有者の合意割合を現在の「5分の4以上」から条件付きで「4分の3以上」に引き下げる区分所有法改正に向けた要綱案をまとめた。2月中旬の法制審総会で決定し、小泉龍司法相に答申。政府は通常国会への改正案提出を目指す。
老朽マンションの増加と所有者の高齢化が進む中、合意形成を容易にして建物の再生や管理不全の防止につなげる狙い。
現行法では、マンションの建て替えには所有者の「5分の4以上」、取り壊しには「全員」の同意が必要。要件の厳格さに加えて、所在不明の所有者が「反対」として扱われることから、決議に必要な賛成を得るのが困難との指摘がある。
要綱案は、耐震性・耐火性の不足、外壁の剥落、給排水管の腐食、バリアフリー基準への不適合のいずれかの客観的事由に該当するマンションについて、建て替え・取り壊しの合意割合を「4分の3以上」に緩和。裁判所が認定すれば、所在不明の所有者を決議の母数から除外できる仕組みも盛り込んだ。
また、大規模な共用部分の変更や修繕についても一定の条件下で、現在の「4分の3以上」から「3分の2以上」に要件を緩和。過半数の賛成が要件の外壁や通路といった軽微な修繕では、決議の集会に参加しない無関心な所有者を多数決の母数から除く仕組みを新たに導入する。
大規模災害で被災したマンションは、建て替え・取り壊しの合意割合をいずれも「5分の4以上」から「3分の2以上」に引き下げ、迅速な復興の促進につなげる。
国土交通省によると、老朽化の目安となる築40年超のマンション数は2022年末時点で約126万戸に上り、10年後に倍増する見通し。所有者の高齢化が進行し、今後相続などで所有者と連絡が取れなくなる事態も懸念されており、政府が見直しを進めていた。
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