2024-01-10 16:22国際

「ガザ戦後、自治政府が統治」=ハマス・イスラエルに共存要求―パレスチナ主流派幹部インタビュー

 【ラマラ(ヨルダン川西岸)時事】パレスチナ自治政府のアッバス議長が率いる主流派ファタハの最高意思決定機関である中央委員会のサブリ・サイダム副事務局長は、時事通信とのインタビューで、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が終結した後のパレスチナ自治区ガザについて、「自治政府の活動継続を望んでいる」と語り、自治政府がガザを統治する考えを示した。「戦後」に関しては、米国が自治政府の統治を目指しているが、イスラエルは反対している。
 サイダム氏はガザでの戦闘で、親族56人を亡くしたと明かし、「(ガザの状況は)言葉では言い尽くせない」と述べた。ガザ侵攻を続けるイスラエルに対して、「パレスチナ人をガザから追い出し、アイデンティティーを消し去ろうとしている」と非難した。
 ハマスは2007年からガザを実効支配してきた。しかし、サイダム氏は、その後も自治政府が政府系学校教員の給与を支払ったり、インフラ整備に資金を拠出したりしてガザと関わり続けてきたと説明。戦後、自治政府がガザで活動するのは「当然のことだ」と語った。
 荒廃が激しいガザの立て直しに向けては、第2次世界大戦後の欧州の復興支援計画「マーシャル・プラン」のような基金を伴う計画が必要だと訴えた。サイダム氏は「イスラエルはハマスを壊滅できない」と指摘し、戦後もハマスが存続する前提に立つべきだと強調する一方、米欧がテロ組織と認定するハマスが復興事業に関与することには否定的な見解を示した。
 ただ、ファタハとハマスは長年対立し、何度も「和解」を約束したが、実現していない。サイダム氏は、ハマスに対し「政治的野心を捨てなければならない」と要求。パレスチナ各派が参加するパレスチナ解放機構(PLO)の正統性を認め、国際法を順守し、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を支持すべきだと語った。
 その上で、パレスチナはハマスを含む「政治的総意」に達する必要があると表明。さらに、軍事衝突を繰り返さないために、パレスチナとイスラエルが「包括的な解決」に合意することが必須だと語った。
 戦後統治を巡り、米国は自治政府を軸とした構想を示す一方、腐敗が指摘される自治政府の「再生」も求めている。これに対しサイダム氏は、イスラエルを支援している米国こそが「問題の一部であり、戦争が継続する(理由の)一端だ」と主張。「外部から求められる改革を受け入れるパレスチナ人は一人もいない」と強調した。 
[時事通信社]

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