2024-01-09 00:15社会

複数の人的ミス重なったか=識者「基本忠実に」―羽田衝突事故、きょう1週間

海上保安庁の航空機と衝突し、炎上する日本航空機=2日、東京・羽田空港
海上保安庁の航空機と衝突し、炎上する日本航空機=2日、東京・羽田空港

 羽田空港(東京都大田区)で起きた日本航空と海上保安庁の航空機の衝突炎上事故は、9日で発生から1週間となった。事故では海保機が管制官からの指示を取り違え、日航機と管制官も滑走路上に停止中の海保機を認識していなかった可能性がある。識者は「複数のヒューマンエラーが重なった」とし、基本に立ち返るよう指摘する。
 事故は2日午後5時47分ごろに発生。日本航空516便が羽田空港C滑走路への着陸時、第3管区海上保安本部羽田航空基地所属のボンバルディアDHC―8型機(通称MA722機)と衝突した。
 日航機は乗客乗員379人全員が脱出し、うち15人が負傷。海保機は搭乗していた6人のうち5人が死亡し、脱出した機長も全身やけどの重傷を負った。
 国土交通省が公表した交信記録によると、管制官は海保機に「滑走路停止位置まで走行してください」と指示し、海保機は復唱。進入許可が出た記録はなかったが、停止位置を超えて滑走路に入っており、指示を誤認したとみられる。
 海保機は日航機と衝突するまで約40秒間、滑走路上に停止。滑走路への誤進入をモニター上で管制官に注意喚起するシステムは、事故当時正常に作動しており、管制官が見落とした可能性がある。日航機も機長ら3人の操縦士が、海保機の存在を「視認できなかった」と証言している。
 元運輸安全委員会統括航空事故調査官の楠原利行さんは「管制指示や滑走路上の様子を確認することは基本的な動作。複数のヒューマンエラーが重なった可能性がある」との見解を示した。
 C滑走路は8日に運用が再開され、国交省は、連休明けにも緊急対策を取りまとめる方針。対策の一つとして、羽田の管制業務では、監視モニターを常時確認する担当が新たに配置され、楠原さんは「すぐにでも実行できる対策だろう」と評価した。
 楠原さんは「管制官もパイロットも、いま一度基本に忠実になる必要がある」と指摘。運輸安全委や警視庁が事故原因などを調べていることについて、「監視モニターの動作など、ハード面の機能についてもしっかり検証してほしい」と話した。 
[時事通信社]

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