米、紛争拡大に危機感=警戒強化も軍事介入回避―パレスチナ
【ワシントン時事】イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が長期化する中、バイデン米政権は、交戦が続くパレスチナ自治区ガザ以外へと紛争が飛び火することに危機感を強めている。中東地域が一層不安定化すれば、米国が巻き込まれ、さらなる対応を迫られるのは必至。バイデン政権は紛争拡大防止に全力を挙げる構えだ。
「再び警告することはないだろう」。米政府高官は3日、オンラインで記者団にこう強調し、紅海周辺で商船攻撃を繰り返す親イラン武装組織フーシ派をけん制した。同日には、日米英、ドイツ、シンガポールなど13カ国が共同声明を出し、フーシ派が攻撃を続ければ「結果について責任を負うことになる」と警告していた。
イスラエルとハマスの衝突以降、フーシ派による攻撃に伴い、紅海周辺のシーレーン(海上交通路)で緊張が高まる。米軍によれば、昨年11月18日以降でフーシ派の攻撃は25件に上り、今月4日には無人水上艦(USV)による攻撃も発生。被害は出なかったが、商船や米軍艦の数キロ以内に接近し、乗組員がUSVの爆発を目撃したという。
紅海周辺に空母を展開する米軍は、有志連合の結成を主導し、警戒に当たる。先月末にはコンテナ船を襲ったフーシ派の小型ボートに応戦し、沈没させたが、フーシ派は拠点があるイエメンを攻撃すれば対抗する構えを示しており、バイデン政権は本格的な軍事介入を控えているのが現状だ。
紅海以外でも火種はくすぶる。米国防総省は4日、イラクで親イラン民兵組織幹部をドローン攻撃で殺害したと発表。同省報道官は「攻撃は自衛のために行われた」と強調し、イラク駐留米軍に対する攻撃への対抗措置だったと説明した。
ロシアのウクライナ侵攻や台湾周辺での中国の軍事的圧力強化への対応にも迫られる米国にとって、中東地域のさらなる不安定化は避けたいのが本音だ。
5日にトルコ入りして中東歴訪を開始したブリンケン米国務長官は、各国高官と「緊張激化を回避するため、当事者が取り得る具体的な措置について議論する」(国務省報道官)予定。紛争の拡大防止で協力を働き掛ける見通しだ。
[時事通信社]
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