対中国、懸案解決へ対話重視=米韓との連携強化―24年外交展望
2024年の日本外交は、東京電力福島第1原発の処理水放出問題などを抱える中国への対処が引き続き重要課題となる。岸田文雄首相は対話を通じて懸案解決の糸口を探る。米国では大統領選を11月に控え、緊密な同盟関係を維持できるかが問われる。
▽処理水の解決探る
「これからの10年を決める分かれ道の年になる」。首相は昨年12月26日の講演で米大統領選や1月の台湾総統選などに触れ、こう述べた。
中国は、昨年8月の処理水放出を受け日本産水産物の禁輸措置を続けている。事態打開に向け、日本側は同11月の首相と中国の習近平国家主席との会談で合意した専門家協議の早期開始を働き掛ける。中国当局に拘束された邦人の解放や、日本の排他的経済水域(EEZ)内に中国が設置した海上ブイの撤去も引き続き求める。
懸案解決へ首相は対話を重視する。日中外相は昨年11月の会談で、外相の相互訪問を検討することで一致。首脳レベルでは早期開催を目指す日中韓首脳会談に際して岸田首相と李強中国首相の会談も想定され、政府関係者は「マルチ(多国間の会議)を活用してバイ(日中)の会談を重ねていく」と話す。
▽首相、国賓訪米へ
米国とは、首相が3月上旬に国賓として訪問し、緊密な同盟を確認する方向。上川陽子外相が1月中旬に訪米し、首脳会談の準備を進める。韓国とも大幅に改善した2国間関係をさらに進め、経済や安全保障の協力強化を狙う。ただ、今年は米大統領選に加え韓国でも4月に総選挙があり、政権基盤に影響を与える可能性がある。外務省関係者は「米韓の政権の行方次第で今のような協力はできないかもしれない」と懸念する。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射など挑発を強める北朝鮮に対し、日米韓は昨年、弾道ミサイル発射情報をリアルタイムで共有するなど連携を深めた。今後も北朝鮮や中国を念頭に、安保面の協力を強化したい考えだ。
このほかロシアの侵攻を受けるウクライナとは、2月に東京で日ウクライナ経済復興推進会議を開催する。戦闘長期化で西側諸国の「支援疲れ」が鮮明となる中、復旧・復興に向けた官民一体の支援を打ち出す。イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザの情勢では、事態の沈静化や人道状況の改善を引き続き訴える。
[時事通信社]
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