2023-12-30 16:00政治

半割れ、災害関連死を初推計へ=南海トラフ想定見直し、大詰め―政府

南海トラフ巨大地震(半割れ)のイメージ
南海トラフ巨大地震(半割れ)のイメージ

 南海トラフ巨大地震の被害想定を年度内に見直す政府の検討作業が、最終段階に入った。10年前の想定では、死者数を関東から九州までの30都府県で最大約32万人としたが、建物の耐震化などが進み、大きく減る見通しだ。一方で新想定では、震源域の東西どちらかで地震が発生した後、時間差でもう片方でも起きる「半割れ」の被害を初めて推計。災害関連死者数も新たに算定する。
 南海トラフでは過去に半割れの地震が起きている。1944年の昭和東南海地震の約2年後に昭和南海地震が発生。1854年には安政東海地震の約32時間後に安政南海地震が続いた。前回の想定は、南海トラフの広範囲で一度に起こる「全割れ」のみだが、新想定では半割れの被害も推計する。
 全割れの地震規模は前回同様、マグニチュード(M)9級。地盤構造のデータを見直すため、震度分布が変わる可能性がある。前回想定は死者数を最大約32万人、全壊・焼失建物を同約239万棟としたが、建物の耐震化や津波避難タワーなどの整備が進み、大幅に減りそうだ。
 半割れについては、M8以上の地震が2回連続で発生すると想定。東側で起こった後、西側で続く場合と、その逆の2パターンを算定する。また、気象庁が2回目の揺れに備えて一部の住民に1週間の事前避難を促す「臨時情報」を発表した場合も考慮。2パターンそれぞれで(1)住民が事前避難中に2回目が発生(2)避難の終了後に発生―を分けて算定する。
 避難生活の身体的・精神的負担などによる災害関連死は、11年の東日本大震災では約3800人、16年の熊本地震では直接死の4倍の200人超に上った。南海トラフ地震でも相当数が見込まれるため、新想定では東日本大震災での避難者数や災害関連死者数を参考に算定する。 
 政府は新想定を踏まえ、来年春に対策の基本計画も改定することを目指している。

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