教員の「残業代」増額検討=長時間労働対策―文科省
文部科学省は教員の処遇改善、長時間労働対策に本腰を入れる。小中高などの公立学校では、教職員給与特別措置法(給特法)により、超勤時間に応じた残業代は支払われず、代わりに月給4%分が「教職調整額」として一律支給されている。中央教育審議会(文科相の諮問機関)はこの見直しに関する答申を来春にまとめる予定。同省は調整額を10%分まで引き上げる方向で検討している。
近年の教員採用試験の倍率は低下している。学校現場は「ブラック」というイメージが広がっていることが一因とされ、なり手不足解消のためにも働き方改革が急務となっている。
調整額を巡っては教職員組合などから、残業代を支払わない給特法の枠組み自体が「定額働かせ放題」を生んでいるとし、制度の抜本改正を求める声が出ている。ただ、文科省内では「授業研究をする教員の勤務時間について、どこまでが業務で、どこからが自主的な勉強かを線引きして管理するのは難しい」と慎重意見が多い。
中教審の特別部会でも、法律の枠組みは維持する方向で議論が進む見通し。一方で、長時間労働対策には「全方位の総力戦」(貞広斎子部会長)が必要とし、さまざまな施策について議論している。
8月に出された緊急提言では、国が定める標準授業時間を大幅に超過する学校に対し、速やかに見直すよう要請。加えて、教員の事務作業を補助する支援員や、専門職であるスクールカウンセラーの配置強化といったテーマも重視する。
教員の定数の改善についても、12月から本格的な議論に入った。ただ、正規職員である教員の定数を増やす場合、パートタイムの支援員以上に必要な予算は大きくなる。長時間労働問題への世論の関心が高まる中でも、予算を査定する「財務省の厳しさは変わらない」(文科省幹部)。中教審答申の取りまとめ後も、予算確保の政府内調整が順調に進むかは不透明だ。
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