2023-12-22 18:01政治

金利上昇で国債利払いが膨張=狭まる政策余地、転機の野放図財政―来年度予算

利払い費・金利と国債残高の推移
利払い費・金利と国債残高の推移

 政府は22日に閣議決定した2024年度の一般会計予算案で、国の借金に当たる国債の償還や利払いに充てる国債費を過去最大の27兆90億円とした。112兆円超の予算総額に占める国債費の割合は4分の1程度に達する。日銀の政策修正に伴う長期金利の上昇を反映したためで、利払い費の負担が重荷となり、一段と財政が圧迫されることで政策の幅が狭まることは避けられない。
 国債費の膨張は、利払い費の算出に使う想定金利を17年ぶりに引き上げたためだ。国債の想定金利は、23年度まで7年連続で過去最低の1.1%だったが、24年度は1.9%に引き上げた。
 これまでは日銀が国債を大量に買い入れて金利を極端に低く抑えてきたが、日銀は昨年12月以降、長期金利の上昇幅を段階的に拡大。24年にはマイナス金利解除が現実味を帯びる。借金頼みの野放図な財政運営は大きな転換点を迎えている。
 国の借金の残高は今年9月末時点で1275兆円を超え、日本の名目GDP(国内総生産)の2倍以上に達している。新型コロナウイルス対策で巨額の借金を積み増したことに加え、コロナ禍などに伴う物価高が世界的な金利上昇に拍車を掛けており、財政の厳しさは増すばかりだ。
 「今がまさに財政健全化に軸足を移すべき時だ」。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は11月、金利の上昇も踏まえて歳出構造を「平時」に戻すよう強く警告した。
 岸田文雄首相は25年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する財政健全化目標を維持する考えを強調する。だが、借金で財源の多くを賄う構造が解消されない限り達成は困難だ。景気回復が本格化して金利が一段と上昇すれば、利払い費は毎年数兆円単位で雪だるま式に増えていく可能性がある。24年度は、先進国で最悪の状況にある日本の財政運営の在り方が問われる正念場の年となる。 

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