3報酬で賃上げ対応=診療「本体」0.88%増―24年度改定
政府は20日、2024年度診療報酬改定について、医師や看護師らの人件費に当たる「本体」部分を0.88%引き上げることを決めた。今回は医療、介護、障害福祉サービスの3報酬を同時に見直す6年に1度の「トリプル改定」で、介護、障害福祉とも1%超のプラス改定を実現。医療・介護従事者らの賃上げを重視した。
鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相が同日の閣僚折衝で合意。武見氏は折衝後の記者会見で「関係者の賃上げを実現できる水準が確保できた。今後処遇改善につながる仕組みの構築に向けて議論する」と述べた。
一方、社会保障費の伸びは、薬の公定価格である薬価引き下げなどで夏の概算要求時の約5200億円から1500億円程度圧縮し、約3700億円とする。
診療報酬では、本体で22年度の前回改定(0.43%)を大きく上回る水準を確保。引き上げ分を活用して看護補助者や薬剤師、40歳未満の医師らの処遇改善を図る。薬価部分は、公定価格と市場での取引価格の差額などを踏まえ1.00%のマイナス改定とし、差し引きした全体では5回連続の引き下げとした。
改定率決定を受け、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)は今後、医療行為ごとの報酬を議論し、来年2月に結論を出す。
介護報酬は1.59%、障害福祉サービス報酬は1.12%それぞれ引き上げ、職員の処遇改善や人材確保、事業所の経営改善につなげることを目指す。
閣僚折衝では、物価高騰による高齢者の負担増に配慮し、介護保険サービスの利用料を2割負担する人の対象範囲拡大の決着を今回は見送り、27年度の次期制度改正までに結論を出すことでも合意した。
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