右派ミレイ政権が誕生=親米、経済危機待ったなし―アルゼンチン
【サンパウロ時事】南米アルゼンチンで10日、中道左派のフェルナンデス政権に代わり、独立系右派のミレイ政権が誕生した。年150%近いインフレ率など切羽詰まった経済の状況は待ったなし。改革を素早く実行に移せるかが課題となる。
ハビエル・ミレイ新大統領(53)は就任宣誓後、通常は国会議事堂内で行う演説を、議事堂の外で実施した。古い政治からの変化を求めた人々に直接訴える狙いとみられ、「国の再建を始めよう。後戻りはない」と改革への決意を表明した。
同氏は、現在の放漫財政を放置すれば、インフレ率が1万5000%に達すると警告。大幅な財政緊縮化を通じた「ショック療法」により、短期的に経済状況が悪化するが、「その後には努力に対する成果が得られる」と述べ、痛みへの理解を求めた。
演説では、公約の目玉とした法定通貨の米ドル化や中央銀行の廃止には触れなかった。急進的な政策に対し国内での反対が予想されることから、現実的な路線にかじを切った可能性がある。
こうした対応は、ミレイ大統領の政党が議会で少数派のため、政策実現に向けて他の勢力との協力が不可欠という背景もある。新政権の閣僚には、大統領選で争った中道右派政党連合の大統領候補だったブルリッチ氏を治安相に、副大統領候補だったペトリ氏を国防相にそれぞれ起用した。
外交では、ミレイ氏は先月の当選後、初の外遊先に米国を選択。親米路線を鮮明にした。ロシアのウクライナ侵攻を巡っては、ウクライナ支持を表明。在イスラエル大使館をエルサレムに移転する意向と伝えられるなど、米国に追随する一方で、中南米の左派政権とは距離を置くとみられる。
一連の動きは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」などを通じて同国と親密な関係を構築した前政権からの方針転換となる。ただ、これまで展開していた中国批判は、当選後は一転して抑制。主要貿易相手国の中国ともうまく付き合おうという思惑がありそうだ。
[時事通信社]
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