米、ガザ情勢で再び孤立=「次の戦争の種まく」と停戦否定
【ニューヨーク時事】バイデン米政権は8日、パレスチナ自治区ガザでの即時停戦を求める安保理決議案に拒否権を発動した。15理事国のうち反対したのは米国だけで、棄権した英国を除き、日本を含む13理事国が賛成。ガザ情勢を巡り、孤立しつつもイスラエル支持を打ち出す米国の突出ぶりが再び浮き彫りとなった。
「停戦は次の戦争の種をまくだけだ」。ウッド米国連代理大使は採決後の演説でこう語り、拒否権行使を正当化した。
イスラエルはイスラム組織ハマスの壊滅に向け、ガザでの戦闘を強化している。同国のエルダン国連大使は否決後の声明で、「われわれの側にしっかりと立ち、指導力と価値観を示してくれた」と米国に謝意を表明。「停戦は全ての人質の帰還とハマスの破滅によってのみ可能となる」と述べ、戦闘を続ける方針を強調した。
ガザから連日伝えられる惨状に、国連加盟国の多くは停戦を求めている。否決された決議案には、中東・イスラム諸国にとどまらず、ベルギーやスペインなど欧州を含む約100カ国が強い賛意を示す共同提案国に加わった。
ロシアのポリャンスキー国連次席大使は会合で、「米国は何千人ものパレスチナ市民に死刑宣告を下した」と痛烈に批判。中国の張軍国連大使も「二重基準だ」と非難した。
ガザ情勢で深まる米国の孤立は、ウクライナ侵攻や北朝鮮問題など他の外交課題での米国の影響力を損ないかねない。米国に近い西側友好国の外交筋は「現在の状況は好ましくない」と危機感を隠さなかった。
[時事通信社]
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