2023-11-18 14:22政治

有料ネット広告、なぜ禁止?=規定複雑、改善求める声も

 東京都江東区長選を巡る公職選挙法違反事件で、木村弥生前区長辞職の発端となったのは陣営が掲載したインターネット有料広告だ。公選法の関連規定には複雑な面があり、与野党から改善を求める声も出ている。
 2013年の同法改正でネットを活用した選挙が解禁され、候補者はホームページやSNSなどで支持の訴えが可能になった。ただ、自らの名前を挙げて有料のネット広告を流すことは禁止され、違反した場合、2年以下の禁錮または50万円以下の罰金が科される。
 資金力のある候補が大量に広告を出せば「カネのかかる選挙になる恐れ」(総務省担当者)があり、公平性を保てないためだ。一方、政党や政党支部が選挙運動用ウェブサイトなどに直接リンクする広告を出すことは認められている。
 ネット広告は、選挙区内のユーザーに対象を絞って配信する「ターゲティング広告」が可能で、使用している議員も多いとみられる。立憲民主党のある議員は21年衆院選に際し、自身が支部長を務める政党支部のホームページを作成。ここへリンクするバナー広告に支部長名と顔写真を載せた。事務所関係者は「当然、法的に問題がないことを確認して出している。問題があれば業者も気が付くはずだ」と振り返る。
 こうした広告は事実上の選挙広告とも言えそうだが、総務省担当者は「(支部長の)氏名や顔写真を載せること自体が即アウトなわけではない」と説明。「禁止されているのは選挙運動のための広告だが、線引きは難しい」とも語った。
 ネット選挙を巡る規定について、立民の長妻昭政調会長は「決められたルールの中でやっていくのが原則」と強調した上で、SNSでは認められている有権者による投票依頼がメールでは禁止されているなど「理屈が分かりにくいものは検討して改善していくことが必要だ」と指摘。自民党の閣僚経験者も「党でしっかり議論してもいい」と語った。 
[時事通信社]

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