石炭火力、存続へ技術革新カギ=温暖化対策で風当たり強まる
世界的に脱炭素化の流れが加速する中、二酸化炭素(CO2)排出量が多い石炭火力発電への風当たりが一段と強まっている。エネルギー資源が乏しい日本は、今後も一定程度の石炭火力を維持する方針だ。だが、存続に向けては発電効率の向上や燃焼時にCO2を出さないアンモニアの混焼など、技術革新がカギを握っている。
石炭は世界に広く分布しているため供給途絶のリスクが低く、調達コストも安い。長時間安定的に発電可能で、気象条件で発電量が変動する再生可能エネルギーの調整力として利点はある。日本は2021年度の発電規模のうち約3割を石炭火力で賄い、30年度も約2割を依存する計画だ。
だが、従来型の石炭火力では、CO2排出量が液化天然ガス(LNG)火力の2倍に達する。洋上風力発電など再生可能エネルギーの導入が進む欧州は、石炭火力に反対の立場だ。4月の先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合では、英国やドイツが石炭火力の廃止時期を明確化するよう要求。日本の反対で合意が見送られた経緯がある。
逆風が強まる中、日本の産業界は環境負荷低減へ、石炭を高温高圧でガス化した上で発電に活用し、その過程で生じる熱も有効利用してエネルギー効率を高める技術などを開発。日本最大の発電会社JERA(ジェラ)は、来年3月からアンモニアを20%混焼する世界初の実証事業を始める。
コスト面の問題から、再エネを急拡大させるのが難しい新興・途上国も多い。既存設備を活用しながら段階的に脱炭素化を目指す日本の技術に期待が寄せられている。
電源開発(Jパワー)と中国電力が共同で実証実験中の高効率石炭火力発電所「大崎クールジェン」(広島県大崎上島町)の白石治技術部長は「脱炭素技術は絶やさず、継続して進化させなければいけない」と強調する。
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