投資・輸出、対立構造は継続=「健全な競争」、見通せず―米中首脳会談
【サンフランシスコ時事】15日の米中首脳会談は、軍当局間の対話再開や人工知能(AI)規制での協力を打ち出し、緊張緩和を演出した。ただ、半導体や重要鉱物に関する輸出規制や投資規制など経済問題を巡る対立構造は維持されたまま。米国がうたう「健全な競争関係」の実現は見通せない状況だ。
「正しい方向への具体的なステップだ」―。バイデン米大統領は首脳会談後の記者会見で、AIを巡って協力すると説明し、関係安定化への成果を強調した。
米中は2月の中国偵察気球問題をきっかけに緊張が高まった。6月以降、軍事・防衛に比べてハードルが低い経済問題から対話を再開。イエレン財務長官やレモンド商務長官らが相次いで訪中し、協力可能な分野を探りつつ、首脳会談への舞台を整えていった。
ただ、その間も米国は、AIなどハイテク分野の投資規制や半導体輸出規制の強化を発表。中国は、電気自動車(EV)に欠かせない重要鉱物の輸出管理強化に動き、安全保障を理由に互いに規制をかけ合う展開がエスカレートしている。
首脳会談の前哨戦となった先週末のイエレン氏と、中国の習近平国家主席の側近、何立峰副首相の協議。イエレン氏は冒頭、対話の重要性を強調しつつも、「自国と同盟国の安全保障を守るため、目的を絞った対応を取り続ける」と明言。中国側が求める輸出規制の緩和などには応じない姿勢を強調した。
中国でも、進出している外国企業の社員拘束などが報じられており、外資への圧力は止まっていないもようだ。
米中は、貿易や投資、観光などテーマごとに政府高官による対話チャンネルを確保してきた。米シンクタンクの専門家は「首脳会談は安定化プロセスの終着点ではなく、始まりだ」と指摘。対話継続がカギになると話している。
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