野党、高額療養巡る混乱追及へ=企業献金論議もスタート
週明けの国会は2025年度予算案を巡る与野党の論戦が参院予算委員会で続く。石破茂首相が高額療養費制度見直しの見送りを表明したことで予算案再修正の必要性が出ており、対応を二転三転させた首相の判断に野党の追及が強まる見通しだ。衆院政治改革特別委員会では企業・団体献金見直しに向けた議論もスタート。野党が足並みをそろえ、自民に禁止を迫れるかが焦点だ。
「予算が衆院を通過した後に大変申し訳ない」。首相は7日夜、高額療養費制度見直しの見送りについて記者団に説明した後、「前代未聞」の予算再修正が必要となることを念頭にこう陳謝した。
5日に始まった参院予算委の審議で、立憲民主党は高額療養費制度見直しの凍結を繰り返し要求。患者団体代表が冒頭から参考人として出席し、立民議員の問いかけに答える形で「命のためにいったん立ち止まってほしい」と首相に訴える異例の展開となった。公明党や自民党内でも夏の参院選を意識した慎重論が高まり、8月からの見直しにこだわる首相への包囲網が形成されていった。
高額療養費制度見直しを巡り、政府は予算案の衆院審議の段階で方針変更を2回重ねた。これらを反映した予算案が衆院をようやく通過した後、首相が3度目の方針転換を決めたことに、自民内からは「判断が遅い」(中堅)と不満が強まる。
野党は「政策決定に問題があった」(立民の野田佳彦代表)と問題視。週明けの10日には首相と関係閣僚が出席する集中審議が参院予算委で予定されており、首相に説明を求める構えだ。
与党は参院で審議時間を80時間程度積み上げた上、早ければ28日に採決に踏み切る日程を描いてきた。ただ、首相の方針転換により100億円規模の予算案修正を迫られ、参院本会議で予算案を修正可決した後に衆院に回付する必要が出てきた。審議日程は窮屈になっており、自民幹部は1~2日程度の暫定予算編成の可能性に言及した。
衆院政治改革特別委は10日、各党の意見表明を手始めに企業・団体献金見直しに関する議論を始める。「禁止より公開」を主張する自民に対し、立民や日本維新の会などは禁止を主張。一方、公明党や国民民主党は禁止に踏み込まず、規制強化を訴える。いずれも過半数を押さえられておらず、与野党が期限と位置付ける3月末に向け、水面下の駆け引きが熱を帯びそうだ。
[時事通信社]
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