〔国際女性デー50年〕自民、6割超が沈黙=選択的別姓「隠れ推進派」も―「子の姓」集約が課題
時事通信が行った選択的夫婦別姓制度に関する国会議員アンケートでは、自民党内で賛否が割れていることが改めて鮮明になった。ただ、所属議員の6割超に当たる196人が未回答。これら沈黙する議員の動向が法整備の行方を左右しそうだ。全議員の4割超を占める選択的別姓導入派も「子の姓」を巡り見解が分かれており、一枚岩とは言えない。
◇保守派「旧姓使用」主張
自民で調査に応じた113人のうち、旧姓の通称使用拡大を含む同姓維持派は72%の81人。高市早苗元政調会長や小林鷹之元経済安全保障担当相ら「保守派」が名を連ねた。故安倍晋三元首相に近かった衛藤晟一参院議員は「夫婦は同姓であるべきだ」として旧姓使用の法制化を主張。稲田朋美元防衛相は旧姓を戸籍に記し法的効力を与える「婚前氏続称制度」創設を提案した。
選択的別姓を導入すべきだと答えたのは小泉進次郎元環境相、河野太郎前デジタル相、野田聖子元総務相ら20人。松島みどり元法相は「『選択的』なのにどうして他人が人の家庭に文句をつけるのか」と指摘した。先の総裁選で導入に前向きな姿勢を示した石破茂首相(党総裁)は回答しなかった。
◇現職閣僚「導入に前向き」
岸田文雄前首相ら12人は、調査には応じたものの「国民の間で意見が分かれており、さらに議論が必要」などとして賛否を明確にしなかった。未回答者と合わせると自民の「態度不明議員」は約200人に上る。夏の参院選で改選を控える中堅は「選挙前に答えたくない」と吐露した。
自民は2月から検討ワーキングチームで議論を本格化させている。「態度不明議員」に関し、ある自民ベテランは「姓を選びたい人には選ばせてあげてもいい、という考えの人は多い」と述べ、別姓容認派が相当数いるとみる。未回答の現職閣僚の一人は取材に「導入に前向きだ」と明言した。若手議員は「党内議論の方向性が見えていない」として回答を避けながらも「導入すればいいと思う」と本音を明かした。
衆参両院で各20人余りが別姓派に加われば、衆参いずれも過半数を確保することも分かった。自民内の反対派に法案採決時は「党議拘束をかけた方がよい」との意見が根強いのは、「隠れ推進派」を警戒しているためとみられる。
◇出生時か婚姻時か
2024年6月に経団連が選択的別姓の早期導入を求めるなど、世論の機運は醸成されつつある。だが、導入派の中でも「子の姓」への考え方はまとまっていない。
立憲民主党、国民民主党、公明党などは過去に「子の出生時」に決める案を示し、今回のアンケートでも回答者の57%が同案を支持。一方、1996年に法制審議会が示した「婚姻時」に決める案を支持した議員も15%いた。共産党の複数議員は、出生時に定めた上で、成人時に本人の申し立てで変更可能とする案を提示した。
同姓維持派の一部は「夫婦別姓の家庭に生まれた子どもは強制的に親子別姓になる」などと「子の姓」問題を重視する。別姓導入の法整備を巡る主要論点の一つとなる見通しで、超党派で集約に向けた議論を深める必要がありそうだ。
[時事通信社]
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