ウクライナ国境回復「非現実的」=欧州防衛で自立要求―米国防長官
【ロンドン時事】ヘグセス米国防長官は12日、ロシアの侵攻が続くウクライナについて「2014年以前の国境に戻すことは非現実的な目標だ」と述べ、領土の完全回復を前提としない和平を目指すべきだという考えを示した。「幻想的な目標を追い求めれば、戦争は長引き、さらなる苦しみをもたらすだけだ」と強調した。ブリュッセルで開かれたウクライナ支援国会議で語った。
ヘグセス氏は「トランプ大統領は外交によって戦争を終わらせ、ロシアとウクライナ双方を(交渉の)テーブルに着かせるつもりだ」と説明。その上で、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟は和平交渉の現実的な選択肢ではないと指摘した。将来的に平和維持部隊の展開が必要になった場合は、NATO以外の枠組みで実施すべきだとし、米軍の派遣は行わないとも明言した。
ウクライナ支援に関しては「欧州が大部分を提供しなければならない」という見解を示し、NATO加盟国に財政・軍事負担を増やすよう要求。現行の「国内総生産(GDP)比2%」の国防費目標は不十分だとして、「5%」への引き上げを求めた。欧州の安全保障は「欧州の同盟国が先頭に立って主導すべきだ」と訴えた。
さらに「われわれは自国の国境の安全保障に注力しなければならない」と表明。米国の優先課題は欧州の防衛ではなく、「互角の競争相手」である中国をインド太平洋地域で抑止することだと強調した。
[時事通信社]
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