豊昇龍、葛藤乗り越え=元朝青龍と比較されても―大相撲
大相撲で29日、横綱豊昇龍が誕生した。モンゴル出身としては6人目。「今までの何倍も稽古しなくちゃいけない」と決意を新たにした。
元横綱朝青龍のおい。入門当初からこの話題が付きまとい、重荷に感じていた。比較されることを拒絶し、「どうして、おじさんの話ばかりするの。嫌だよ」。良くも、悪くも角界きっての人気者だったおじに対し、複雑な感情を抱いた。
変化が生まれたのは大関昇進後。高校時代に豊昇龍を指導し、今も親交が深い柏相撲少年団の永井明慶代表は「俺は俺だ、という心構えになってきた。(おじの話題も)最近は聞き流している」と言う。最高位を見据える中、無縁ではいられない大きな存在を受け入れられるようになった。
昇進を決めた先の初場所。連敗を止めた10日目に「おじさんは25回優勝しているのに…。比べたら、まだまだ序ノ口だよ」。ひょうひょうとした口調に、葛藤を乗り越えた強さが透けて見える。ここから負け知らずで綱とりへの道を切り開いた。
伝達式はくしくも元朝青龍と同じ1月29日。晴れの舞台で、横綱土俵入りはおじが披露していた雲竜型に決めたことを明かした。「横綱に上がっても、おじさんの名前は僕から離れない」と苦笑いする25歳。「誰かのまねではなく、これが豊昇龍だという姿を見せたい」。言葉に力を込めた。
[時事通信社]
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