生活保護減額取り消し=原告勝訴、二審で2例目―福岡高裁
国が2013~15年に生活保護基準額を引き下げたのは違法などとして、福岡県の受給者39人が減額処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は29日、請求を棄却した一審福岡地裁判決を変更し、原告37人に対する処分を取り消した。松田典浩裁判長は「生活保護法の趣旨に反する過誤、欠落があった」などと述べた。
同種訴訟は全国29地裁で31件起こされ、司法判断は分かれている。高裁判決は5件目で、二審での原告勝訴は23年11月の名古屋高裁に続き2例目。同高裁は国に原告1人当たり1万円の賠償も命じたが、福岡高裁は「処分取り消しで損害は回復される」などとし、賠償請求は退けた。
判決で松田裁判長は、一般世帯と生活保護世帯では、食費や教養娯楽費など各項目の家計に占める割合に「明確な違いがある」と指摘。厚生労働省が一般世帯を対象にした「家計調査」を用いて基準額を算定した点を「不合理」と述べ、厚労相がこの算定方法を採用した判断について、「違法性が認められる」と結論付けた。
一方、請求を認めなかった原告2人については、引き下げ決定の通知後、期限内に県に審査請求をしなかったとした。
判決後に記者会見した原告の山脇誠さん(73)は「少しでも生活が楽になるように願っている。うれしい」と話した。
厚労省の話 判決内容を精査し、適切に対応したい。
[時事通信社]
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