「両親とも雄」マウス=遺伝子操作などで誕生、成長―ヒトの難病解明期待・中国科学院
クローンや胚性幹細胞(ES細胞)、遺伝子操作などの技術を組み合わせ、「両親とも雄」のマウスの子を誕生させたと、中国科学院動物研究所などの研究チームが28日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表した。成体まで成長したものの生殖能力はなく、短命だったという。
同チームは2018年にも同様の方法でマウスの子を誕生させたが、直後に死んだと発表していた。今回は「インプリンティング(刷り込み)遺伝子」と呼ばれる遺伝子群を20カ所も修正する操作を行い、成体まで成長させることができた。
遺伝子の大半は、父親由来と母親由来の遺伝子が対になっており、両方とも機能する。しかし、インプリンティング遺伝子はどちらか片方しか機能せず、ヒトで異常がある場合は「インプリンティング疾患」と総称される難病の原因となる。
ヒトで「両親とも男性」の子を同様の方法で誕生させるのは技術的に困難である上、国際幹細胞学会の指針で禁止されているが、マウスでの研究成果は同疾患のメカニズム解明や治療法の開発に役立つという。
一方、大阪大の林克彦教授らは23年に、雄マウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から卵子を作り、別の雄の精子と受精させて子を誕生させたと発表している。
中国チームは最初にクローン技術を使い、あらかじめ核を抜いた卵母細胞(卵子の前段階)に精子を入れた。実験容器内で培養してES細胞をつくり、インプリンティング遺伝子の修正や別の精子の追加などを経て雌に移植し、「両親とも雄」の子を誕生、成長させた。
「両親とも雌」のマウスの子は、東京農業大の河野友宏教授(当時)らが04年に初めて誕生させたと発表した。
[時事通信社]
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