トランプ政策、拭えぬリスク=日銀

「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領の再登板で、世界経済の先行きに不確実性が増す中、日銀は追加利上げに踏み切った。国内の経済・物価動向は「オントラック(想定通り)」と判断し、トランプ政権発足直後の金融市場に大きな混乱がなかったことで「見切り発車」した格好だ。今後、同政権が高関税政策を発動し、日本経済に悪影響が及べば、日銀の金融政策運営は難しいかじ取りを迫られる。
日銀は利上げ判断に関し、2025年春闘での賃上げに向けた「モメンタム(勢い)」(植田和男総裁)とトランプ政権の経済政策を注視する方針を示していた。賃上げ機運については、1月上旬の日銀支店長会議での地方や中小企業への広がりの報告などを通じ、前年並みの高水準の賃上げが実現する公算は大きいと判断した。
トランプ政権は「予測不可能で、不確実性が完全に払拭することはない」(日銀幹部)ものの、20日の大統領就任式での新政権の「初動」を確認。中国やカナダ、メキシコへの高関税の即時発動は見送られ、日銀にとって利上げのハードルは下がった。
トランプ氏の高関税政策が米国のインフレ再燃を招き、円安・ドル高が進行した場合、日銀はさらなる利上げを急ぐ可能性がある。一方、報復関税の応酬による貿易戦争の激化で、世界経済の下押しリスクが高まれば、日銀の利上げ路線が停止に追い込まれるという事態も想定される。
[時事通信社]
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