中国、貿易相手の拡大加速=トランプ米政権に身構え
【北京時事】中国が米国と経済分野で対立を深める中、貿易相手国の多角化を進めている。かつて最大の輸出先だった米国との取引が伸び悩む一方、ベトナムなどとの関係は強化。トランプ次期米政権の発足で「貿易戦争」が再燃するリスクに身構えつつ、取引相手国の拡大を急ぐ戦略だ。
「貿易全体に占める『一帯一路』参加国のシェアが初めて5割を超えた」。中国税関総署の王令浚副署長は13日の記者会見でこう強調した。一帯一路は中国主導の独自経済圏。日米などを除く大半の国が加わっている。中国はこうした国々と経済的な結び付きをさらに広げる方針だ。
第1次トランプ政権で顕著だった米国の対中強硬姿勢は、バイデン政権にも引き継がれた。トランプ氏は第2次政権で再び高関税を課すと明言しており、中国国内には「リスクは可能な限り減らすべきだ」(共産党関係者)と警戒感が広がっている。
中国貿易統計によると、2024年の輸出入全体に占める米国のシェアは11.2%と、第1次トランプ政権が発足した17年から3ポイント下がった。対照的に東南アジア諸国連合(ASEAN)は3ポイント超拡大。ロシア、ブラジルも伸びた。
貿易決済で用いるドルの依存度を下げる対応も急ぐ。ウクライナ侵攻をきっかけに欧米の制裁を受けるロシアとの間で人民元取引を増やしている。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)とも原油の元建て決済を模索しているとされる。
習近平国家主席は17日に行われたトランプ氏との電話会談で、米中関係を「前に進めたい」と関係発展に意欲を示した。中国としてはトランプ政権と対話を続けつつ、全面的な衝突のリスクを減らす取り組みが「基本路線」(先の共産党関係者)になりそうだ。
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