阪神大震災、災害対応の転換点=「本気の事前防災」推進―赤沢防災庁準備相インタビュー
赤沢亮正防災庁設置準備担当相は17日までに時事通信のインタビューに応じ、30年が経過した阪神大震災について「政府災害対応の転換点だ」と語った。南海トラフ地震などの大災害が予想される中、「本気の事前防災」を掲げ、防災庁創設へ検討を加速させると強調した。
―阪神大震災の教訓は。
戦後初めての都市直下型地震で、高速道路は横倒しになり、家屋は倒壊し、存命だった人が火災で命を落とした。後悔すれば切りがない。
これを契機に政府の緊急参集チーム設立や、現地対策本部を法定化。耐震基準見直しやボランティアによる防災活動の本格参加、被災者生活再建支援法も制定され、わが国の災害対応の転換点となった。
―能登半島地震から1年が経過した。
山が多い半島という地理的特徴があり、被災者が移動することや救援物資を届けることも難しい状態に陥った。高齢化地域での災害関連死防止をどうしていくかが課題だ。
NPOや民間企業との連携を強化していく必要がある。温かい食べ物を届けるにもコンビニや物流業者と組み、「餅は餅屋」という考え方で見直していく。石破茂首相が「TKB48」と呼ぶトイレ、キッチン、ベッドが48時間以内に届く環境をどう整備するかだ。
―防災庁の検討状況は。
今後30年間で80%程度と言われる南海トラフや首都直下型地震、富士山噴火など大規模災害が予想される。政府の司令塔として防災庁が必要だ。専任閣僚を置き、予算も定員も倍増する。
近々、有識者会議を開催し、災害対策を一層効果的、効率的に実行できる体制整備に向け、今年の夏ごろの施策取りまとめを目指す。一層スピード感を持ち、具体的な議論を進めたい。
―防災庁には「屋上屋を架す」との批判もある。
今の予算、定員の体制では、大きな災害が起こるたびに事態対処はパンク寸前で、事前防災は中断となる。南海トラフは死亡者想定32万3000人だ。だから専任閣僚が率いる防災庁を設置して防災業務の企画・立案に係る総合調整を担い、実動部隊の防衛省や警察庁と一体で対応できる体制を整備する。
発生後に大規模に亡くなる人を減らし、被災者の負担を軽減することは簡単ではない。平時から不断に備えることが不可欠だ。例えば全ての市町村で必要な備蓄を作ってあるか。災害情報システムがちゃんと整備されているか。
事態対処に万全の体制で臨むとともに、事前防災を最大スピードで進める必要があり、「屋上屋」という批判は全く当たらない。
[時事通信社]
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