石破首相、ASEANで外交デビューへ=衆院選目前、持論説明も焦点
石破茂首相は10、11両日、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議が開かれるラオスの首都ビエンチャンを訪問する。就任後初の外遊で、同志国との連携重視の姿勢をアピールするのが狙いだ。一部の関係国はアジア版NATO(北大西洋条約機構)創設など首相の持論を懸念しているとの見方もあり、対面での首脳外交デビューの場でどのような発信をするか注目される。
首相は4日の所信表明演説で、冒頭の自民党派閥裏金事件に続いて外交・安全保障を取り上げ、「日米同盟を基軸に友好国・同志国を増やし、わが国の平和、地域の安定を実現する」と強調。「ASEANとの連携強化に取り組む」と語った。
首相は就任前からビエンチャン訪問を明言。早ければ9日の衆院解散直後に日本を出発し、衆院選公示の目前に帰国する「強行軍」だが、欠席すれば「中国の独壇場になる」(外務省幹部)との懸念が背景にある。衆院選に向けて「石破外交」を印象付けたいとの思惑もありそうだ。
首相はラオスで、日ASEAN首脳会議、ASEANプラス3(日中韓)首脳会議などに出席し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を訴える考え。各国との2国間関係の強化に向け、韓国の尹錫悦大統領らとの個別会談も模索している。
首相が掲げるアジア版NATO創設はアジア各国に波紋を広げており、「日本を除いてアジアの集団防衛機構を望む国などない」(シンガポール専門家)との声も出ている。所信表明演説では持論をひとまず封印した首相だが、ASEAN関連首脳会議には中国も出席するとみられ、首相が説明を求められる可能性もある。
[時事通信社]
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