日本被団協にノーベル平和賞=核兵器廃絶訴え、世界に―佐藤元首相以来、半世紀ぶり
ノルウェー・ノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表した。日本人の平和賞受賞は1974年の故佐藤栄作元首相以来50年ぶりで、団体では初。核兵器廃絶を求めて56年に結成されて以来、70年近くにわたり国内外で被爆体験を積極的に発信したことが評価された。
授賞理由として、「核兵器のない世界を達成するための努力」と、「核兵器が二度と使用されてはならないことを証言を通じて示した」ことを挙げた。
非核・反核運動を巡っては、「核兵器なき世界」を目指すとした「プラハ演説」を行ったオバマ米元大統領が09年に、国際的なNGOの連合体「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が17年にそれぞれ受賞。委員会は「今年の賞は、以前に核軍縮の擁護者に授与した平和賞の優れたリストに加わる」と評価した。
日本被団協は米国の水爆実験による第五福竜丸被ばくを契機に56年結成。国際活動に力を入れ、核保有国をはじめとする各国に代表団を派遣して被爆体験を伝えるとともに、国連軍縮特別総会などにも参加。核兵器の残虐さを訴え、17年の核兵器禁止条約の採択にも貢献した。
被爆者援護の充実や、原爆被害の国家補償も求め、被爆者援護法や同法の施行に伴い廃止された原爆医療法、原爆特別措置法の制定などに尽力した。
こうした活動が評価され、85年以降何度も平和賞の候補に挙げられた。国際原子力機関(IAEA)などが受賞した05年には、ノーベル賞委員会の委員長が授賞式の演説で、被団協の活動を評価する異例のコメントをした。
授賞式は12月10日、ノルウェーの首都オスロで行われ、賞金1100万スウェーデンクローナ(約1億6000万円)が贈られる。
[時事通信社]
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