電気・ガス代補助の延長焦点=物価高克服へ総合経済対策―政府
石破茂首相は4日、物価高対策を中心とする総合経済対策の策定を指示した。年末までに終了する電気・ガス代、ガソリン補助を延長するかどうかが焦点。低所得者世帯向け給付金の支給や、地方創生の自治体向け交付金拡充なども盛り込まれる。
経済対策は(1)物価高の克服(2)日本・地方経済の成長(3)能登半島などの自然災害からの復旧・復興―の3本柱。首相は同日の所信表明演説で「デフレ脱却を最優先に、賃上げと投資がけん引する成長型経済を実現しつつ、危機に強靱(きょうじん)な経済・財政をつくっていく」と強調した。
これまでに11兆円規模の予算が投じられた電気・ガス代と燃料油の補助金は、それぞれ10月、年内で終了する予定。赤沢亮正経済財政担当相は同日の記者会見で、これらの補助金延長について「状況を丁寧に見極める必要がある」と述べた。家計の負担や景気動向に加え、政権支持率なども踏まえて継続するか判断する見通しだ。
経済対策の規模も注目される。岸田政権が昨年策定した定額減税などの経済対策は17兆円を超え、財源を裏付ける2023年度補正予算の総額は約13兆円だった。赤沢氏は今回の対策に関して「効果的な施策をしっかりと盛り込む」と強調。予算規模が膨らめば、25年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する政府の試算は絵に描いた餅になりかねない。
従来、首相は安倍政権の経済政策「アベノミクス」に批判的で財政再建の必要性を指摘してきたが、総裁選では「経済あっての財政」を掲げた。総裁選後に金融市場は不安定化し、石破政権の経済政策に対して「かじ取りに不安を抱かせる」(アナリスト)と、「ぶれ」を指摘する声も上がる。今回の対策で、経済成長と財政健全化のバランスをどう取るかが試される。
[時事通信社]
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