2024-09-23 21:34スポーツ

勝利と育成を両立=常勝軍団復活へ前進―プロ野球・ソフトバンク優勝

パ・リーグ優勝を決め、ベンチから駆け出すソフトバンクナイン=23日、京セラドーム

 パ・リーグの頂点から遠ざかること3年。2010年以降に輝かしい時代を築いたソフトバンクにとって、この時間は短いようで長かった。
 21年に8年ぶりのBクラス(4位)に沈み、その後もオリックスに苦杯をなめさせられた。「われわれは常勝チームではない」。今季就任した小久保監督は、強い覚悟で再建に取り組んだ。采配は定石に忠実。充実した戦力を適材適所で起用し、敏腕ぶりを発揮した。
 優勝を目指す上で、監督が「一番の課題」とみたのは投手陣だった。キャンプから整備に力を入れた先発は有原がエース格に。中継ぎから転向したモイネロは想定以上の活躍で2桁勝利を挙げた。来日6年目のスチュワートが開花し、大関や大津も存在感を示した。
 度重なるアクシデントも、層の厚さで乗り越えた。5月末に柳田が走塁で右脚を負傷し、シーズン中の復帰が微妙に。7月には抑えのオスナが腰の治療のため離脱した。それでも、柳田が抜けた外野は正木や柳町が穴を埋め、代役の抑えは松本裕が務めた。主力の離脱は終盤にも相次いだが、代わりに起用された若手が奮闘した。
 盤石なチーム編成の裏にはフロントの覚悟があった。昨オフ、チームに足りなかった右の長距離砲を補うため、西武からフリーエージェントとなった山川を獲得した。昨季に女性関係の不祥事が発覚し、出場は17試合。書類送検された選手との契約には懐疑的な声もあったが、入念な調査の末「問題なし」と判断して迎え入れた。シーズンが始まると不動の4番として本塁打を量産。移籍2年目の近藤らと強力なクリーンアップを形成した。
 近年は外部からの大型補強が目立つものの、それだけに頼らなかった。今季、育成から初めて支配下に移行した選手は6人。開幕前に昇格を果たした緒方は、守備と走塁に特化した選手として1軍に欠かせない戦力となった。打撃ではシーズン序盤に川村、終盤には石塚が結果を出し、競争を生んでチーム全体の成長を促した。
 1軍コーチからは、生きのいい若手を送り込んだ2軍以下のスタッフへの感謝の声も上がった。勝利と選手の育成を両立させてつかんだ栄冠。常勝軍団の復活を予期させるシーズンだった。 
[時事通信社]

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