豪、安保協力を重層化=対中抑止で同志国と連携
【シドニー時事】オーストラリアは5日の日豪外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、両国間の安全保障協力をさらに強化することで合意した。東・南シナ海や台湾海峡で軍事的動きを活発化させる中国に対する抑止力を高めるため、日米だけでなく、韓国、ニュージーランド(NZ)、東南アジアの同志国などとも連携し、安保協力の重層化を図っている。
今回の2プラス2は、中国軍機による日本の領空侵犯や中国海警局の船舶とフィリピン船との衝突が相次いだ中で開かれた。マールズ国防相は席上、「ルールに基づく秩序が圧力にさらされている。秩序を守ろうと決意している国々と格子状のネットワークを築く必要がある」と強調した。
豪州は米英との安保枠組み「AUKUS(オーカス)」を通じて原子力潜水艦配備計画を進め、日米インドとの協力枠組み「クアッド」も推進する。2プラス2では、豪軍と自衛隊の司令部間の要員相互派遣など協力の緊密化が決まった。
豪州は韓国、NZとの協力も深めつつある。両国は日豪と共に北大西洋条約機構(NATO)の域外パートナーだ。また、日韓NZは、AUKUSが「第2の柱」と位置付ける先端軍事技術協力への参加候補国でもある。実現すれば極超音速兵器開発やサイバー、宇宙分野の協力が進むことになる。マールズ氏は「日韓関係の改善でさらなる取り組みが可能になった」と評価した。
豪州は8月下旬、インドネシアとの防衛協力協定に調印した。南シナ海で中国の威圧的行動に苦しむフィリピンとは、2国間でも日米豪比の枠組みでも安保協力を深化させている。太平洋島しょ地域ではパプアニューギニアと安保協定を締結。法の支配や民主主義を共通項にインド太平洋の安定へ連携していく考えだ。
[時事通信社]
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