日本警察の意地も懸け=吉岡、メダルに再挑戦―パリ五輪・射撃
2度目の五輪に向け、射撃の男子ラピッドファイアピストルの吉岡大(京都府警)は心を鍛え直してきた。初出場した東京五輪は8位。健闘といっていい結果だったが、「入賞と聞いて喜んでしまった自分がいた。そう考えてしまったことがすごく悔しい」。昨年の世界選手権4位などの実績を重ね、今はメダルしか見ていない。
強い正義感は消防士の父親譲り。「暴力団を取り締まる仕事に就きたい」との思いで2007年に警察の道に進んだ。現在は機動隊に所属。射撃を始めてからは交番勤務を離れているが、競技生活を終えれば再び地域住民とじかに触れ合う業務への復帰を望んでいる。
明るく社交的な性格が大会でも生きる。「会場を自分の家のような感覚にしたい」と、身ぶり手ぶりを交えて海外選手に積極的にアプローチ。トップ選手の技術もどんどん聞き出してきた。女子エアライフル代表の野畑美咲(明大)は「吉岡さんは日本語で話してもなぜか通じているような感じがある」と笑う。
筋力トレーニングが一番の趣味。技術の向上にはあまり関係はないそうだが、そのおかげで「追い込まれれば追い込まれるほど、いい結果が出る」と自信を見せる。同じく日の丸を背負った昨秋の杭州アジア大会では、弾が不発になるトラブルが重なりながらも集中力は失わなかった。
普段は人なつっこい吉岡も、ひとたび拳銃を握れば目の色が変わる。「海外の犯罪組織が五輪を見たときに、『日本の警察は射撃がすごいんだ』と思わせたい」。38歳は警官としての意地も懸けて戦いに挑む。(時事)
[時事通信社]
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