火山噴火で壊滅のポンペイ、同時発生した地震による死者も 研究
【ローマAFP=時事】2000年近く前の西暦79年に起きたベスビオ山の噴火によって消滅したイタリア・ポンペイ遺跡の調査で、同時発生した地震による死者もいた可能性を示唆する新たな研究結果が18日に発表された。≪写真は、ポンペイ考古学公園の円形闘技場≫
専門家らは長年、古代ローマ時代の文人政治家・小プリニウスが書簡に記したように、ベスビオ山の噴火の直前ではなく、同時に地震活動が起きていた可能性について議論してきた。
学術誌「Frontiers in Earth Science」に掲載された論文は新たな見解として、1回以上の同時多発地震がポンペイ市街の「建物の崩壊と住民の死の一因」だったと主張している。
考古学界では、ベスビオ山の噴火により、当時のポンペイの人口の15~20%が死亡したと推計している。そのほとんどはガスや火山灰による巨大な雲に覆われた中での熱衝撃が原因だったと考えられている。
その後、火山灰で埋まったポンペイの街では、家屋、公共建築物、物品、住民の遺体までもが、16世紀後半に遺跡として発見されるまで完璧に保存された。
ポンペイ遺跡を調査する考古学者たちは昨年5月、熱や火山性のガス雲ではなく、壁の崩壊による外傷で死亡したとみられる男性2人の遺骨を発見した。そのうちの一人は、頭を守るかのように左手を上げた状態で発見された。
論文の著者らは「このような外傷と、現代の地震に巻き込まれた人々の外傷の類似は注目に値する」と指摘。壁は噴石ではなく、地震活動によって崩壊したと結論付けた。
またポンペイの「市街全体を考慮し、大局的に考えると、地震が引き起こした建物の崩壊による死者はこの2人だけではないとする仮説が成り立つ」と述べた。【翻訳編集AFPBBNews】
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