新興国の様子見鮮明=ウクライナ、数を優先―支持拡大に望みつなぐ・平和サミット
【ビュルゲンシュトック時事】スイス・ビュルゲンシュトックで15、16両日の日程で開かれたウクライナ主導の和平案を話し合う「平和サミット」。「ロシア軍撤退」などの核心部分を議題から外すことでハードルを下げ、参加国を国・機関合わせて100の大台に乗せてみせた。
しかし国際社会で影響を強める新興・途上国「グローバルサウス」の主要国は、首脳が軒並み不参加となり、様子見姿勢は鮮明。共同声明の署名も見送った。ウクライナは次回会合に向け支持拡大への望みをつないだものの、合意形成の難しさが浮き彫りになった。
◇G7参加もスイス行かず
「(ロシアを含めた)当事国が認める国際会議だけが和平を可能にする」。ブラジルのルラ大統領は14日、イタリアで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)の拡大会合で演説し、平和サミットの実効性に疑問を投げ掛けた。
隣国スイスには足を延ばさず、国としてもオブザーバー参加にとどめた。同じ会合に出たインドのモディ首相とトルコのエルドアン大統領も平和サミットには自身の参加を見送り、米国を除いてこぞってスイスに駆け付けたG7首脳とは対照的だった。
これら新興国にとっても「領土侵攻」は看過できない国際法違反だ。それでも経済・軍事面で利用価値の高いロシアとの関係悪化は避けたいのが本音。ロシアは10日、自国で行われた新興国グループ「BRICS」外相会議で、西側諸国へのけん制を込めた共同声明をまとめて、抱き込みを図った。
◇小さな芽に水を
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、支援国の手を借りながら、トップ外交を展開して数集めに奔走した。2日の演説では「何人かの首脳はまだ参加を決めていない。妨害が試みられている」と焦りも見せた。
焦点だった中国がロシアに配慮して参加を見送ったことへの失望は大きい。ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領が4、5月に、それぞれ習近平中国国家主席と直談判したが、オブザーバー参加もしない「ゼロ回答」だった。
ただ南アフリカやサウジアラビアを含むグローバルサウスの主要国をまがりなりにもそろえたことは一定の成果といえそうだ。ゼレンスキー氏は「きょうここにいない首脳のところにもアイデアは持ち帰られる」と述べ、次回への期待を込めた。
ウクライナを支えてきたショルツ氏は、花の水やりに例えて、今後の継続的な努力を訴えた。「小さな芽には水を注ぎ、大切に育てなければならない」。
[時事通信社]
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